インドの貧しい代理母とキラキラゲイカップル
ずっと気になっていた『もうひとりの母たち』を見た。
もうひとりの母たち 【日本初公開】 | ドキュメンタリー映画|アジアンドキュメンタリーズ
「代理母の何が問題なのだろう」、「危険な肉体労働と何が違うのだろう」と思っていたが、これを見て、代理母をせざるを得ない状況にインドの女性たちが置かれていることに対してネガティブな感情を抱いた。
ドキュメンタリーに登場する代理母たちの何人もがシングル・マザーだ。夫と死別した人もいれば、夫に暴力を振るわれていたという人もいる。
他に収入を得る方法があれば、彼女たちは代理母の仕事を引き受けなかったのかもしれない。インド社会における女性の雇用機会の改善が必要なのだろう。
(日本もインドについて言える立場にないが)
病院を取り仕切っている女性の医師が高価な車に乗っている一方、代理母が報酬で購入しようとしていたのは夫が使う人力車だった。医師と代理母たちの収入には大きな差があるのではないか。ならば、女性の医師は代理母たちを搾取している、といえるのだろうか。
しかし、医師が言うように、代理母の女性たちにもっとマシな仕事があるわけではないのだろう。医師は、彼女たちが病院にいる間に教育を施そうとしている。(どうやら教師のレベルが低いようだが)代理母の中には、この医師に本当に感謝していると話す人もいる。
病院の環境は、あまり良くなさそうだ。ひとつの部屋にベッドをズラッと並べて間仕切りすらない。途中、代理母たちが喧嘩するシーンも出てくる。
受精卵をいくつも子宮に入れて、あとから「減数手術」なるものをするというのも、
女性たちに心身の負担がかかりそうだと思った。実際、妊娠した子供のうちの二人を殺さないといけないと言われた女性はとても動揺していた。
何より、代理母が心理的にかなり負荷のかかる仕事であることが分かった。代理母の多くは、子供たちとの何らかのつながりを求めている。(依頼した夫婦が写真を送ってくれたり、食事に招待してくれることを期待している)
しかし子供の両親が必ずしもそのように振る舞るかどうかはわからない。夫婦に偽の電話番号を渡されたと嘆く代理母もいた。
とはいえ、代理母に反対すると、妊娠・出産を神聖なものとして扱うことになりそうでどうしても警戒心を抱いてしまう。
セックスワークを労働として認めて労働環境の改善を求めるように、代理出産を労働として認めて労働環境の改善を求めることはできないのか?
ドキュメンタリーでは、依頼してきた夫婦のことはあまり取り上げられなかった。最後に出てきた夫婦は、夫は流暢な英語を話しており、現地の言葉が分からないようだった。妻は現地出身なのだろうか?代理母に対して親切そうであったが、本当にインドに帰って来る度に子供と一緒に代理母に会いに来てくれるのかどうかは分からない。
↓記事では、アメリカ在住の代理母が登場する。アメリカのように女性の雇用機会が充分にあるように思われる社会であれば、問題ないのだろうか?
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